認知症で精神病院に入院したじいちゃんのブログ

認知症で精神病院に入院した86歳のじいちゃんの日々の変化などを孫の俺が書いていきます。

頑張れじいちゃん!認知症で精神病院へ入院【当日】

どうもコウイチです。


デイサービスに行けるあと少しのところで、認知症が進行しデイサービスを断られたじいちゃん。


その行先は精神病院になった。


精神病院と聞くと、正直俺の中では


・牢獄

・縛り付け

・薬漬け


などのイメージがあり、じいちゃんを入院させることが凄く不安だった。


そして、事前にネットで色々と調べてみると、色々な情報が出てきた。


明るい情報もあれば、最悪な情報もあった。


その違いは、入院する精神病院によっても違いがあるということも書いてあった。


認知症で精神病院に入院することについては、やっぱり包括の方が言ってた通り、


・凶暴化する

・暴れる

・興奮状態になる


などの認知症の人は、老人ホームに入っても他のじいちゃん、ばあちゃんに危害を加える可能性があるから、まずは精神病院で治療が必要との事だった。


■2019年1月16日


じいちゃんの入院の日がやってきた。


その日は、お母とお父、そして包括支援センターの方も同行していただき、午後2時にじいちゃんを病院に連れて行く段取りだった。


俺は仕事だったけど、じいちゃんの事が心配だったから午前中で会社を早退させてもらって、直接2時に病院に行くことにした。


じいちゃんは今日から精神病院に入院することなんてもちろん知らないから、お母とお父が迎えに行った時、


「どこいくんじゃ」


「ワシはどっこも行かん」


と、車に乗るのも拒否していたようだが、お父が、


「農協に行くんや」


「おじいさんも来て」


と言うと、昔から親しみがある農協なら行くと車に乗ったようだ。


何も知らないじいちゃんが凄く可哀想だった。


包括の方とは精神病院で待ち合わせだった。


そして、お父、お母はじいちゃんを車に乗せて精神病院に向かった。


じいちゃんが入院する精神病院は地元でも有名で、じいちゃんも間違いなく「精神病院」だと知ってる病院だった。


お母は、病院に到着した時、じいちゃんが病院の名前を見て暴れ出さないか心配だったようだ。


そんな不安もありながら精神病院に到着した。


駐車場に車を停め、農協ではない事に気づいたじいちゃんは、


「ここは精神病院やないか」


「なんでこんなとこ来たんじゃ」


と、精神病院とは認識していたが、特に興奮した様子もなかったようだ。


おそらく、スイッチが入っていない状態だったから、「なんでこんな所に来た?」と普通に疑問に思ったのだと思う。


そして包括の方と合流して、じいちゃんはまずは病院の先生の診察を受ける段取りとなっていた。


じいちゃんが病院に着いた10分後くらいに俺も病院に到着した。


そして、受付の人にじいちゃんの診察室まで案内してもらった。


俺が診察室に行くと、すでに先生の診察が始まっていた。


診察室には、先生、じいちゃん、お母、お父、包括の方、病院の看護師の方が数名と、けっこう集まっていた。


俺は挨拶をすると、イスを用意してもらって、先生の診察を受けているじいちゃんの隣に座った。


座った時、じいちゃんが俺の方を見て、少し笑った。


俺は、じいちゃんの笑顔に


(ごめん、じいちゃん、、、)


と心が痛かった。


診察の内容は、主に認知症のテストだった。


・今日は何月何日ですか?

・今何歳ですか?

・誕生日を教えて下さい

・今から言う3つの言葉を教えて下さい

・今から言う計算を頭の中でして下さい

・知っている野菜の名前を全部言って下さい。


じいちゃんは耳が遠いから、質問がなかなか伝わらなかったが先生の話は真面目に聞いていた。


質問に対してのじいちゃんの回答は、


・今日は何月何日ですか?

・今何歳ですか?

・誕生日を教えて下さい


は、分からなかったようで答えられなかった。


でも、「昭和天皇と同じ昭和8年生まれです」とは懸命に言っていた。


そして、計算問題については、


100-7=93


は正解した。


正直、俺は答えられないだろうと思っていたけど、答えてビックリした。


でも次に


93-7


という問題には答えられなかった。


で、その場に居たみんなが驚いた質問が、


・知ってる野菜の名前を教えて下さい


の質問だった。


この質問に対して、じいちゃんは即答で答え出し、


・トマト

・きゅうり

・じゃがいも

・さつまいも

・キャベツ

・なすび

・はくさい

・とうがらし

・さといも

・しいたけ

・ほうれんそう


など、(この他にも答えていたけど忘れました)スラスラと答えたのだ。


この質問は10種類言えたらパーフェクトだったみたいなんだけど、じいちゃんはおそらくそれ以上答えたと思う。


これには、先生を含むその場に居た全員が驚きだった。


実は、じいちゃんが答えた野菜は、昔からじいちゃんが作ってた野菜で、認知症になっても、じいちゃんはそれをしっかりと覚えていたのだった。


これには俺も驚きもあったが、驚きと共に目の奥からこみ上げて来る物もあった。


全ての質問が終わり、先生の判定では、


認知症の疑いがありますね」


ということだった。


俺は、


「は??」


「どう見てもじいちゃんは認知症だろ?」


と心の中で思ったけど、質問に対しての答えからは「認知症の疑い」という判定のようだ。


「んー、マニュアルどおり過ぎて納得できない、、、」


と思ったけど、そこは流しておいた。


そして、次に本題である「入院」についての説明を受けた。


精神病院だから特別な説明があるかと思っていたが、そういったのは特に無く、普通の病院と変わらない感じだった。


でも、1つ「ご理解いただきたいです」という説明があった。


それは、俺も凄く気になっていた部分でもあった。


その説明というのが、


「入院中に、もし、じいちゃんが暴れたり、興奮状態になった場合、部屋にカギをかけさせてもらいます」


という説明だった。


これに対して俺は、


「え?縛ったりはしないのですか?」


と、つい聞いてしまった。


すると、先生は少しニッコリとして、


「安心して下さい。縛ったりするのは患者様が自らを傷付けるなど、特別な場合だけです」


と説明してくれた。


俺は素直に安心した。


俺の中では、


精神病院=縛る


というイメージだったので、じいちゃんが縛られたらどうしようと凄く不安だった。


先生が言うには、確かに動きが取れないように縛るという事もあるのは事実だけど、それは、「自分で自分を傷付けてしまう患者さんなどに限って」という事だった。


だから、認知症で少し暴れたり、興奮する程度なら部屋に入れてカギをかけることで対応するという事だった。


これには、お母、お父も安堵の表情だった。


じいちゃんには、これらの先生の説明が耳が遠いため全く聞こえていなかった。


そして、じいちゃんにも先生の方から入院の説明があった。


先生が耳元で、


「〇〇さん(じいちゃんの名前)、○○さんは最近、夜中などに現実にそぐわない行動があるので、少しの間入院してもらいます」


こんな感じの説明だったと思うけど、俺は、「体が少し悪いので」とか説明するのかな?と思ったら「現実にそぐわない行動がある」など、けっこう率直な説明だった。


じいちゃんは、もちろん自分が認知症である自覚はないので、


「ワシはどっこも悪いとこはありません!」


「入院だけはお断りします!」


と少し興奮した様子で先生に訴えた。


そして、


「こんなとこに入院したら縛られてしまいます!」


と、ここが精神病院ということも理解していた。


俺は、そんなじいちゃんに、


「じいちゃん、安心しな!ここは普通の病院やで縛ったりは絶対してない」


「体に悪いところがあるで、ちょっとだけ入院するだけや。安心して」


とじいちゃんが安心するように説得した。


すると、その流れで看護師さんが、


「おじいちゃん、それなら部屋の様子を見に行ってみましょうか(*^_^*)」


と優しい感じで言ってくれた。


正直、訳も分からないままじいちゃんは、場の流れに押されて


「お、おう」


みたいな感じで、じいちゃんが入院する3階のフロアへ行くことになった。


俺はじいちゃんを安心させるために、横にしっかりついた。


お母、お父は看護の主任さんから入院の説明をうけるため、別室に行った。


俺とじいちゃんは、数名の看護師さんと共に、廊下を歩き、エレベーターに乗って、3階のフロアへと移動した。


移動中、じいちゃんは何度も


「うわー、こんなとこ、かなんでよー」


「まいったのー」


と言っていた。


俺も精神病院の病棟なんて初めて来るから、正直ビビっていた。


精神病院は、その症状などによって、


・棟

・階


が分けられるようだった。


じいちゃんが入院するのは、3階の病棟で、そこにはじいちゃんのような認知症のおじいさん、おばあさんだけが入院してるとの事だった。


3階のフロアに着くと、ドアがあってカギが掛けられていた。


入院している患者さんが勝手に出ていかないようにだった。


カギを開けて中に入ると、そこにはナースステーションがある広い交流ルームとなっていた。


俺の想像とは大きく違っていた。


俺は、ただの廊下があり、その脇には部屋のドアがずらっと並んでいると思っていた。


しかし、実際には大きな窓があって、壁には大きなテレビが設置されていて、テーブルが沢山置かれていて、照明も明るい大きな部屋があった。


正直、老人ホームと何一つ変わらない感じだった。


そして、そこには、じいちゃんと歳の近そうな、おじいさん、おばあさんも普通に沢山おられた。


皆さん、看護師さんの見張りなどもなく、


・テーブルで3、4人で座ったり、

・イスに座ってテレビを観たり

・新聞を読んだり


など、各々が自由に過ごしておられた。


もちろん、暴れたり、奇声を上げたりする人は1人もいなかった。


(え!?想像と全然違う!!)


(マジで老人ホームやん!!)


俺は、想像と違い過ぎて驚いた。


そして安心もした。


じいちゃんもその様子を見て、さっきまでの「縛られる!」みたいな表情ではなくなり、普通の表情をしていた。


そして、看護師さんに付き添われ、まずじいちゃんの体重測定と血液検査があった。


俺はじいちゃんの体重などは知らなかったけど、計ってみたら


体重:60キロ

身長:164cm


あった。


86歳のじいさんにしては立派な体格しとる(笑)


そりゃ、暴れたらお母も止めれんわ(^-^;


俺は納得した。


そして、一通りの検査が終わると、じいちゃんの部屋を見に行った。


部屋は交流ルームの両サイドに廊下があって、その廊下に沢山の部屋があった。


部屋に案内してもらうと、部屋は横にスライドする形の丈夫なドアがあって、部屋の中は4畳ほどで、窓とベッド、そして個室のトイレがあるだけの部屋だった。


テレビなどは無かった。


ちなみに窓は、10cmほどしか開かないようになっていた。


エアコンは完備されおり、寒いことはなさそうだった。


この部屋の俺の印象としては、


「テレビくらい付けてくれよ」


という印象で、じいちゃんが可哀想になった。


そして、3階のフロア、入院患者、部屋を見たじいちゃんだったが、ここにきてやっぱり、


「入院はせん!帰る!」


と言い始めた。


そして、


「明日○○に1億円貸す約束をしとる!だから今日郵便局行かなあかん!」


「郵便局行ったら入院してやる!」


とも言い始めた。


可哀想だったけど、ここまで来て帰らすわけにはいかない。


入院して少しでも認知症が良くなってほしい。


俺は、どうにかじいちゃんを説得しようとした。


「じいちゃん!金なら俺が行っとく!」


「俺が郵便局行って〇〇さんに1億貸しておくわ!」


「だから今日は泊ろ(^_-)」


興奮させないように必死に説得した。


それでも、じいちゃんは興奮が収まらなかった。


そんなじいちゃんと俺のやり取りを見て、看護師さんが、


「今はそっとしてあげて下さい」


と俺に言った。


どうやら、じいちゃんも入院ということでストレスを感じている上に、認知症の妄想が重なっているから、今はそっとして落ち着かせてあげた方がいいとの事だった。


「さすが、プロ」


とか俺は思った。


そして、一旦じいちゃんを一人にして俺はお母達のいる部屋に行った。


お母とお父は、看護師さんに入院について色々説明してもらっていたが、これも着替えの事や、洗濯の事で、普通の病院となんら変わり無かった。


看護師さんも愛想の良いおばちゃん達で、悪い印象は一切なかった。


そして、説明や入院の手続きが一通り終わり、帰ることになった。


時間は、午後5時で2時に来てから3時間が経っていた。


帰る前にもう一度じいちゃんを見に行くとじいちゃんは少し落ち着いていた。


そして再度、「郵便局とか、じいちゃんの用事は俺が行っておく」と伝えると、じいちゃんは、


「分かった。それなら1日だけやったら入院してやる」


と何とか入院を納得してくれた。


お母は帰る時も、じいちゃんに会わなかった。


理由は分からないけど、じいちゃんの顔を見るのがツラかったのかもしれない。


帰る際、初対面であり、ここまでお世話になった包括支援センターの担当に方に、心からお礼を言った。


お父くらいの歳で、電話で話した通りのとても優しい良い方だった。


そして、


「これからも大変ですが、頑張って下さい」


「次回は退院される時お会いしましょう(*^_^*)」


という励ましの言葉もいただいた。


病院を出る時、お母はホッとした様子だった。


何も知らず連れて来られて、いきなり入院させられたじいちゃんはマジで可哀想だった。


酷い事をしたかな、、、とも思った。


でも、病院なら他の患者さんや看護師さんなど、沢山人もいるから「誰かが来る」という恐怖も無いし、夜間に徘徊することも無い。


可哀想だけど、これもじいちゃんの為だと割り切って、じいちゃんを精神病院に任せることにした。


じいちゃん!何とか良くなってくれよ!