認知症で精神病院に入院したじいちゃんのブログ

認知症で精神病院に入院した86歳のじいちゃんの日々の変化などを孫の俺が書いていきます。

【精神病院 認知症病棟の実態】夜は来るなと遠まわしに言われた俺

どうもコウイチです。


精神病院へ入院して4日目から興奮が目立つようになって部屋にカギを掛けられることが多くなったじいちゃん。


そんなじいちゃんが心配で今日も仕事帰りに面会に行くことにした。


面会に行っても特に話す事は無いし、むしろ会話にならない事も多い。


面会時間もせいぜい5分程度だ。


でも、俺は行く。


じいちゃんは認知症の自覚なんて無いだろうから、精神病院に入院させられた意味も分かってないと思う。


当然、


「いつになったら帰れるんやろ?」


「帰りたい」


という不安な気持ちはとてつもなくデカいと思う。


俺は、そんなじいちゃんを少しでも安心させてやりたかった。


俺なら、訳も分からないまま精神病院に入院させられたとしても、毎日身内の誰かが来てくれたら耐えれそうな気がする。


そんな理由から俺は、出来るだけ行って顔を見せてやろうと今日もじいちゃんに会いに行った。


しかし、そんな俺の行く手を阻む出来事が起きた。


今日も娘が一緒に行きたいと言ったから、娘と2人で夕方じいちゃんの面会に行った。


いつものように体温を測り、3階の認知症病棟へ行きインターホンを鳴らした。


すると、中から初めて見る看護師さんが出てきた。


60歳くらいのおばちゃんで愛想の良いおばちゃんだった。


そのおばちゃんが、


「すみません。今日も〇〇さんは興奮が収まらないのでカギを掛けさせてもらっています」


そして、


「今、主任が説明しますので、少しお待ち下さい」


と俺に言った。


すると、主任と思われる看護師さんが看護師ステーションから出てきた。


40歳くらいの女性の看護師さんだった。


そして、その主任が


「○○さん(じいちゃん)は、興奮が収まらないのでお部屋にカギをかけさせてもらってます」


「興奮されていますが、面会されますか?どうします?」


俺の主観的な意見で言ってはいけないと思うけど、この主任、


なぜか無性にムカついた。


疲れているのか何か知らないけど、全く愛想が無いのだ。


説明も、表情一つ変えないで、まるでロボットのような棒読み。


まるでマニュアルに書いてある文章を覚えて、それを口に出しただけのような感じだった。


(なんやねんコイツ)


じいちゃんがお世話になっている病院の看護師さんだから、ダメだとは思ったけど、心の中では無性にムカついた。


「どうします?興奮されてますが面会されますか?」


再び聞いてくる主任。


俺は、じいちゃんが興奮しているのは想定済みだったから、即答で


「はい、面会します。お願いします。」


と言った。


その時だった。


もう一人の愛想の良いおばちゃんが、


「えぇ~!困りますぅ~!」


と言ったのだ。


俺は一瞬、


「え!?何が!?」


とか思ったけど、おばちゃんが出川並みのリアクションをした理由はスグに分かった。


主任の


「興奮されてますが面会されますか?」


という俺に対しての質問に、おばちゃんは、おそらく俺が帰ると思ったのだろう。


でも俺が、それでも面会すると言ったものだから、おそらく心の声が出てしまったんだと思う。


それにしても、おばちゃんが正直すぎて少しウケた。笑


で、なんで面会されると困るかと言うと、答えは簡単だった。


それは、俺に出会うことで、じいちゃんがさらに興奮すると面倒だからだ。


さすがに、「じいちゃんがさらに興奮すると面倒」とはストレートには言われてないけど、おばちゃんに、


「ここには58人の方が入院されているのですが、夜は私達2人しかいないのですよ~」


と、それに近い事は言われた。


「んなこと知らんわ」


と一瞬俺は思ったけど、よくよく考えるとおばちゃんの言う事は納得できる話だった。


もし、俺がおばちゃんの立場だったら、58人を2人で見る事がどれだけ大変か想像できた。


俺なら、


「勤務交代の時間が来るまで何も起こらないでほしい」


「できるだけ平和であってほしい」


「できるだけ興奮したり、暴れないでほしい」


そう、思うだろう。


おばちゃんの正直な心の叫びは、凄く納得できるものだった。


良く考えてみると、俺はじいちゃんに会うだけで、その後にじいちゃんが興奮しても、俺は何の面倒も見ずに帰るだけだ。


よく聞く話で、酔って帰って来たお父さんが、せっかく寝た赤ちゃんを起こすだけ起こして、後の面倒は見ずに寝るという話を聞く。


当然、また泣いてしまった赤ちゃんの面倒を見るのは、お母さんになる。


お母さんは、


「せっかく寝たんやから起こすなや!後の面倒は誰が見ると思とん!」


とキレるだろう。


俺は、おばちゃんが言っているのは、まさにこの事だと思った。


(わりぃ、おばちゃん)


俺は、心の中でおばちゃんに誤った。


そして、主任が、


「夜は興奮されると薬の効果や睡眠にも影響が出るので、できるだけ日中にお願いします」


と、遠まわしに「夜は来るな」という事を無表情で言った。


それも分かる。


じいちゃんは、精神病院に入る前から、被害妄想や興奮が起こるのは夜が多かった。


だから、「夜は来るな」というのも分かる。


でも、日中は仕事で来れないから夕方来るしかない。


俺の中で葛藤が起きた。


でも、よく考えてみると、


「今は」夜は来ない方がいいのかな、、、


と思った。


じいちゃんが、もう少し精神病院に慣れて、治療の効果も出てきて、もう少し落ち着いてきたら夜の面会も興奮しないのかなと思った。


そう思うと、主任の言う事も一理あるなと納得できた。


それにしても、この日はこの精神病院の実態というのがよく分かった。


看護師の数が全く足りていないのだ。


58人の入院患者に対して、2人の看護師しかいないのは、あまりにも少なすぎると思う。


3人の認知症患者さんが同時に暴れ出したら、もう手に負えないのは明確だ。


だから、少しでも興奮した様子が見えたら、スグに部屋にカギをかけるのだと思う。


カギをかけるほどでもない、認知症のおじいちゃん、おばあちゃんでも、すぐに鍵をかけられていると思う。


実際にじいちゃんは丸2日鍵を掛けられている状態だ。


部屋にカギを掛けられて出れない状態になると、当然もっと興奮する。


これは別に認知症じゃなくても俺でもそうだ。


人が足りないから、少しでもおかなし行動があればスグに部屋に鍵を掛ける。


働く人が少ないから手に負えないのは分かる。


でも、もっと患者さんの立場になってほしい。


ベッドしか無い部屋に鍵を掛けて閉じ込められたら誰でも正気ではいられないハズ。


パニックになって、もっと認知症が進行する可能性だってある。


お世話になっている分、悪く言うつもりもないけど、これがじいちゃんの精神病院の実態だ。


この日は、おばちゃんと主任の言う事を聞いて帰ることにした。


おばちゃんは、帰り際、娘に


「せっかく来てくれたのに、おじいちゃんに会えなくてごめんねぇ」


と言ってくれた。


凄く良いおばちゃんだった。


主任は相変わらず表情一つ変えず、


「ご苦労様です」


と言うだけだった。笑


ムカついた。笑


夜は、来ない方がいいのか、、、


これからどうすっかなぁ、、、


帰り道で考えたけど、モヤモヤするだけだった。