認知症で精神病院に入院したじいちゃんのブログ

認知症で精神病院に入院した86歳のじいちゃんの日々の変化などを孫の俺が書いていきます。

【入院2日目】ポジティブな認知症のじいちゃん

どうもコウイチです。


じいちゃんが認知症で精神病院に入院して2日目、今日も仕事終わりに娘と面会に行った。


入院1日目である昨日は、


「帰る!」


の一点張りだったので、今日もそうだろうなぁ、、、と思いながら、じいちゃんの病院に向かった。


体温を測り、3階のじいちゃんのいるフロアに到着した。


インターホンを鳴らして、看護師さんにドアを開けてもらう。


すると、今日はじいちゃんは飛び出してこず、フロアを見わたしてもいなかった。


「部屋にいるのかな?」


と思って看護師さんに聞いてみると、


「こちらでお待ちです(*^_^*)」


と面会室に案内してもらった。


じいちゃんのいる3階の認知症のフロアには、交流広場だけでなく、ちゃんと面会室も用意してあった。


ドアを開けて面会室に入ると、


「おう(^_^)」


とイスに足を組みながら座っているじいちゃんがいた。

 


は!?

 


俺は幻でも見ているかのようにビビった。


何故ならば、昨日と全く違ったからだ。


違うというか、もう病院に完全になれて、


「ワシの病院にようこそ(*^^)v」


みたいな感じだったのだ。


昨日は、


「いつ帰れるんじゃ!」


「はよ帰らせろ!」


と暴力的に怒っていたじいちゃんが、今日は別人のように落ち着いていた。


俺は、


「これはじいちゃんの作戦かもしれない」


「これはフェイントで、いきなり暴れ出したらどうしよ」


とか、ビビりながらとりあえずじいちゃんの横に座った。


娘は棚に置いてある認知症の関しての色んなパンフレットをあれこれ見ていた。


「じ、じいちゃん、体調はどうや?」


「飯は食ったか?」


と普通に聞いてみると、


「おう、さっき食ったぞ(^_^)」


「体もどっこもえらいとこはない」


と会話もばっちりキャッチボールできた。


(は!?一日でめっちゃ良くなっとるやん!!)


俺はマジで驚いた。


でも、その反面めちゃくちゃ嬉しかった。


でも、相変わらずおかしな事は言ってた。


「今日お母、喜んどったやろ?笑」


じいちゃんがニッコリしながら言った。


俺は、


「ん?何が?」


と聞くと、じいちゃんが、


「金や、金(^_^)」


「今日、〇〇が10億円お母の家に持って行ったやろ?」


と、ハンパ無い話ををし始めた。


〇〇は、親戚のおっちゃんの名前だった。


ここで、「知らんで」と言えばじいちゃんのスイッチが入ると困るから、俺は、


「う、うん。持ってきたで!ごっつい額やったわ!」


「さすがじいちゃん!まじハンパないわー!!」


とゴリ押しで話を合わした。


すると、じいちゃんは満面の笑みでうなづいていた。


どうやら、この日、機嫌が良かったのはこの妄想のおかげだったようだ。


(この認知症だけやったらなぁ、、、)


俺はじいちゃんの認知症の症状が、今日みたいな症状だけならとスゲー思った。


この日みたいな認知症なら、近所の人に迷惑をかけることもないし、デイサービスだって余裕で行けると思う。


言うならば、ポジティブな認知症だ。


デイサービスに行っても、


「ワシは10億円持ってるんすよ(^_-)」


「ワシの孫は内閣総理大臣なんすよね(^_-)」


と、きっとスーパースターになれるはずだ。


でも、現実はそうはいかず、じいちゃんには「もう1つの認知症の顔」がある。


それが、凶暴化するところだ。


・自分の部屋に武器を大量に運ぶ

・ハンマーを持って大声を出しながら近所を徘徊

・他人の家の物をワシのもんだと持って帰る

・畑の策をぶっこわす


(はぁ、、、この日のポジティブ認知症とは真逆だ、、、苦笑)


(何とか、このままポジティブな認知症になってくれたら、、、)


(ボケは治らなくても仕方ないけど、せめて凶暴化だけでも治ってくれたら、、、)


俺は、この日のじいちゃんを見て神様に祈った。


でも、病院に居る限りは、誰かが殺しにくると不安もないだろうし、武器を運ぶ事もできない。


じいちゃんは、一人でいる時によく凶暴化のスイッチが入る傾向があったけど、病院なら他のじいちゃんばあちゃんも居るし、何より看護師さんもいる。


もしかしたら、このまましばらく入院していたら、殺される被害妄想も、武器の事も忘れるかもしれない。


そうなってくれたらいいけど、家に帰ってまた日中1人になれば、どうなるか分からない。


んー難しい。


そんな事も考えながら、その日は10分くらいじいちゃんのポジティブな認知症に付きあった。


小1の娘も、楽しそうに話すじいちゃんを見てリラックスしてニコニコしていた。


でも、やっぱり帰ることについても言ってきた。


「ワシはいつ帰れる?」


「あと2、3日くらいか?」


昨日と比べたら、凄く冷静だった。


それに、「今すぐ帰る!」や「明日は帰るぞ!」などではなく、「2、3日後か?」と心にも余裕が見えた。


(じいちゃんマジで良くなったんか!?)


精神病院入院2日で凄まじい改善を見せたじいちゃんに、この日は本当に驚かされた。


そして、


「そうやなぁ、あと何日かは先生やないと分からんけど、もうちょっと違うかな?」


と、じいちゃんに言うと、


「そうか」


とあっさり納得してくれた。


そして、


「ほな今日は寝る」


と言ったから、じいちゃんを部屋まで送って俺と娘も帰ることにした。


帰る時、交流広場には沢山のおじいちゃん、おばあちゃんがいた。


皆さん、珍しそうに俺の事を見ていたから、


「こんにちわ(*^_^*)!」


と大きな声で挨拶をしてみると、


笑顔で会釈してくれるおじいちゃんや、


「ご苦労さん(^_^)」


と言ってくれるおじいちゃんが居た。


ここにいるおじいちゃん、おばあちゃんは、じいちゃんのように老人ホームに入れない認知症の症状で入院されているハズなのに、それは全く感じられなかった。


むしろ、老人ホームにいるおじいちゃん、おばあちゃんと同じに思えた。

 


それでは以上がじいちゃんの入院2日目となります。


この日のじいちゃんは、本当に良かったです。


まるで、10年前くらいのクールで優しいじいちゃんに戻ったようでした。


じいちゃん、このまま良くなってくれよ!